アルコール度数
SI 外の単位 · 量:水とエタノールの溶液におけるエタノールの体積分率
十七世紀イングランドの国庫では、度数は火薬で試された。ひとつまみの火薬の上にひと匙のアルコールを注ぎ、火を点ける。炎が燃え尽きたのちに火薬が燃え立てば、そのアルコールは証されたもの — proved — とされ、残った水が火薬を浸して音を立てるにとどまれば、品は規に届かぬものとして別の率で課された。試しは粗く見えるが、拠っていたのは本物の物理である。溶液に水が多すぎぬかぎりエタノールは燃え、その閾はおよそ五十七体積百分率のあたりに落ちる。
今日の目盛はいずれもその火薬の閾から育ち、一世紀に満たぬあいだに互いに離れていった。英国は「百度 proof」を、火薬がなお点くまさにその度数に据えた。ゆえにその目盛の単位は体積百分率の四分の七となった。米国のほうは分数に関わりたくなかったので、proof をそのまま百分率の二倍と宣し、百といえば純アルコール半瓶を意味することになった。ゲイ=リュサックは誰よりも簡明に運び、体積百分率そのものを度と呼んだ。だからこそ彼の目盛は他の二つを生き延び、今日の規の礎となっている。
01 · 定義
体積百分率で表す度数とは、純エタノールの体積の、溶液全体の体積に対する比である。ただし両の体積は二十摂氏度でそれぞれ別に取る。この「別に」という但し書きが肝心である。アルコールと水は混ぜると縮み、一リットルのアルコールに一リットルの水を加えると、二リットルではなくおよそ 1.93 リットルの混合液になる。ゆえに分率は混ぜる前に算え、後ではない。
この種の量には、密度さえ見分けられればどんな器械でも足りる。アルコールは水より五分の一近く軽く、それゆえ浮きはぶどう酒よりウォッカのほうが目に見えて深く沈む。アルコール計が百分率で直に目盛られているのもここに由来し、欠かせぬ温度の補正も同じところから来る。温もった溶液は器械の目にはそれ自身より強く映るからである。
三つの歴史的な目盛は互いにひとつの係数しか違わず、それゆえ表を要さずに正しく換算できる。ゲイ=リュサックは自らの度を体積百分率に等しいと置き、米国の proof は百分率の二倍であり、英国のそれは火薬の閾を自らの百とした — 溶液がなお火薬を点じるその度数である — こうして百分率の四分の七に当たる単位を得た。英国は一九八〇年に自国の目盛を廃したが、古い瓶詰めの瓶に載る「70° proof」の一行は今なお換算を求める。
質量分率はそのかたわらに住まい、体積分率と絶えず取り違えられるが、両者は目に見えて異なる。四十度のウォッカでは、質量で数えたアルコールはおよそ三十三百分率にすぎない。水より軽いからである。ちなみに酒税はいずれによっても算えず、一荷に含まれる無水アルコールのリットル数で算える。ゆえに勘定にとって度数はひとつの係数でしかない。
つまみで度数を導き、匙を見ていただきたい。アルコールが足りているあいだ、炎は乾いた火薬まで燃え下り、火薬は燃え立つ。だが水が閾を越えたとたん、残りが火薬を浸し、閃きの代わりに音が立つ。右の三つの目盛はひとつの同じ液を読んでおり、離れる幅は係数の違う幅とちょうど等しい。
実線は、度数が上がるにつれて水とアルコールの混合液の密度がどう下がるかを示し、破線は、液がただ足し合わされるだけならどう下がるはずかを示す。線が離れるのは、アルコールと水の分子がそれぞれ単独のときより密に詰むためで、この窪みは四十百分率のあたりで最も深い。まさにそれゆえ、アルコール計は定規ではなく表によって目盛らねばならない。
02 · 換算
ラベルに記された値を入れてください
度数の三つの目盛のあいだでは、換算は正しい。いずれもひとつの係数しか違わぬからである。近似が現れるのは密度が関わるところだけで、質量分率と一荷の重さは、水とアルコールの混合液について表に載る値から算える。
英国の目盛は二つの姿で示してある。ひとつは通例の proof 度、もうひとつはサイクスの古い書き方で、そこでは百からの隔たりを上へ下へと数えた。二つめの姿は票の細かな設定で隠せる。
温度は度数にとっても粘度に劣らず重い。ただ現れ方が違う。アルコールの分率そのものは温めても変わらぬが、密度は下がり、アルコール計は一度ごとに読みをおよそ三分の一百分率だけ高く示しはじめる。検定の表が二十摂氏度で組まれ、米国の慣いでは六十華氏度で組まれるのはそのためである。
| 値 | 注記 | ||
|---|---|---|---|
| {u} | {name} | {value} | {note} |
03 · 桁の並び
アルコールを含まぬものから精留アルコールまで04 · 測定器
度数は何で測るか
ひと匙のアルコールをひとつまみの火薬に注いで火を点け、炎が燃え尽きたのちに火薬が燃え立ったか、残った水のなかで音を立てたかによって度数を判じた。試しはわずか二つの状態しか見分けなかったが、器械も表も要さず、そのために国庫で一世紀半近く保った。
吊り錘ひと揃いを備えた真鍮の浮き。英国議会が一八一六年に法として認めたものである。錘は器械が目盛のある領まで沈むように選び、度数は百からの隔たりとして上へ下へと読んだ。火薬の「諾か否か」を送り状に書ける数に変えたのは、まさにこれであった。
水とアルコールの混合液の表により、体積百分率で直に目盛られた硝子の浮き — まさにこの器械が、今日なお実験室でも自家蒸留者の台所でも使われている。その読みはアルコールと水の純な混合液にしか通じぬので、リキュールの糖やウイスキーの浸出物はこれをすっかり狂わせる。
アルコールと水のほかに何かを含む酒の度数を知る道はひとつしかない。試料を柱で分け、エタノールの峰の下の面積を算えるのである。リキュール、漬け込み酒、甘いものすべてはこうして検められる。そこでは浮きが何の役にも立たぬからであり、ついでに、正直な品にはあってはならぬメタノールも捕らえられる。
05 · 表記の規則
国を記さぬ proof は何も意味しない
体積分率は数、空き、百分率の記号で書き、「vol」という但し書きはそのあとに置く。それがなければ分率は二通りに読まれるからである。proof では国を必ず記さねばならない。ひとつの同じ数が大西洋の両岸で異なる度数を意味し、その違いは些細ではない。英国の百度は五十七百分率を与え、米国の百度はちょうど五十を与える。
第一の書き方は口語の「四十度」であり、文書には居場所がない。度数を度と呼んだのはゲイ=リュサックとトラレスだけであり、その記号は自らのものだからである。第二は分率が体積によるのか質量によるのかを言わず、四十百分率では両者の違いは七点にも及ぶ。第三は国を記さぬので一義に換算できない。第四はそもそも誤りである。質量で数えれば、同じウォッカのアルコールはおよそ三十三百分率にすぎない。
06 · 隣り合う単位
かたわらには、溶液の密度を通して濃度を読むあらゆる目盛が並ぶ。麦汁の糖はブリックス度で、醸造の浸出物はプラトー度で、工場の酸と灰汁はボーメ度で測る。造りはみな同じで、浮きが密度を見、硝子にはその器械が作られた生業の数が記されている。
溶液の体積のうちに
質量百分率
元麦汁の密度
Simetrium の 要覧のうち 隣に並ぶのは Brix 度 と Plato 度, 比重計の各目盛 °Bé / °Tw / °API、そこでは同じ密度が石油業の読み方で読まれる、および kg/m³ で表した密度、それなくしては体積分率と質量分率を結びえない。
07 · 歴史の部
火薬による証し
英国の酒税の役所はアルコールに二つの率で関税を課したが、品は港でそのまま、器械も持たずに見分けねばならなかった。編み出された試しは単純である。アルコールを火薬に注いで火を点け、火薬が燃え立ったか音を立てたかによって、品を証されたものか薄いものかに数え入れた。proof という語はそれ以来度数を意味する。字義どおりには「ひとつの証し」であるけれども。
議会はバーソロミュー・サイクスの器械を認め、あわせて定めそのものに法の力を与えた。proof spirit とは、その密度が水の密度の十三分の十二である溶液である。数はおよそ五十七体積百分率に出た。すなわち同じ火薬の閾であり、ただマッチではなく浮きで測られたにすぎない。
米国の国庫は proof という語を受け継いだが、英国の分数に関わることを望まず、百 proof とは体積でちょうど半分がアルコールであると宣した。火薬との結びつきはそこで切れたが、目盛は暗算できるものとなり、今日に至るまでバーボンの瓶の「100 proof」は五十百分率を意味し、五十七ではない。
共同市場のうちの商いが皆にひとつの目盛を求めたとき、選ばれたのは最も簡明なもの — ゲイ=リュサックによる体積百分率であった。英国は一九八〇年一月一日に自国の目盛を廃し、以来リスボンからヘルシンキまで瓶は同じように記される。古い「70° proof」は、四十年より長く蔵に眠っていたラベルにしか出会えない。
諾か否かしか答えられなかった試し
火薬の試しは珍事のように見えるが、実のところ、ここに述べたどの器械よりも正直である。量を測っているふりを一度もしなかった。答えたのはただひとつの問い — 度数は閾の上か下か — であり、しかも繰り返しうる形で答えた。目盛を刻んだ多くのものについては、そうとは言えない。この単位ののちの歴史はすべて、その「諾か否か」がいかにして数となったかの歴史である。
火を比重計に替えたことは、単なる精緻化ではなく、量そのものの性の変わり目であった。閾の代わりに目盛が現れ、二つの状態の代わりに連なりが現れた。その時から度数は送り状に書け、度によって課税でき、法廷で小数第一位を争えるようになった — 火薬はそのいずれも許さなかった。その代価が表であった。浮きが見るのは密度であってアルコールではなく、一方を他方に変えるのは表だけである。
カタログ · 測定単位
それぞれの量に一つの要覧
SI 基本単位が七つ、固有の名を持つ組立単位が二十二、そして技術も暦も成り立たない体系外の量。