ローマの竿秤のかぎに、lb の文字が鋳込まれた青銅の市場分銅がつるされている。表面を光がすべり、分銅はかすかに揺れる。竿はいったん傾き、おもりが目盛りを 1 の線まですべると落ち着く。右下では大麦の粒がひとつずつ鉄の皿に落ちていく。これがグレーンで、七千粒で一ポンドになる。
単位シート
質量 · 商取引の単位 第 1/1 葉 · 改訂 2026-09ポンド lb · avoirdupois
SI 外の単位 · 量:質量;1959 年から正確に 0.453 592 37 kg
議会とともに焼けた原器
1834 年 10 月、作業員たちがウェストミンスター宮殿のストーブで財務府の古い木製の割符を燃やしていたところ、火が建物に燃え移り、朝には議会は壁だけになって、がれきの下にはヤードとポンドの溶けた原器が残った。それを作り直す委員会は古いトロイポンドを繰り返さず、常衡ポンドを主とすることに決め、1844 年に白金の新しい円柱が鋳造された。イギリスは一世紀以上、これで商品をはかった。
1959 年からポンドはもはや円柱に頼っていない。正確に 0.453 592 37 キログラムと定義され、キログラムは 2019 年からプランク定数で定義されている。だから「1 lb」と書かれた小麦粉の袋はどれも、突きつめれば量子定数ではかられている。
このページは時代の違う五つのポンドを同じ天秤にのせ、八桁の数になぜこんな妙な端数がつくのか、そしてトロイオンスは常衡オンスより重いのに、トロイポンドはなぜ軽いのかを説明する。
記号 lb は小文字で、点をつけずに書き、複数形でも変わらない。5 lb であって 5 lbs ではない。文字はラテン語の libra から来ており、お金の記号 £ も同じ語源だ。一ポンドが支えを押す力は別に lbf と書き、質量とは混ぜない。
常衡ポンド avoirdupois と、今も金をはかるトロイポンドを。トロイポンドは 373 グラムと軽いが、そのオンスは常衡オンスより重い。ドイツ語圏の市場で使われる半キロの「Pfund」とも、銀一ポンドとして生まれながら今は何の重さも持たないポンド・スターリングとも違う。
01 · 定義
キログラム · グレーン · オンス常衡ポンドは質量の単位で、1959 年の国際協定により正確に 0.453 592 37 キログラムに等しい。16 オンス、7000 グレーンに分かれ、14 ポンドで 1 ストーンとなる。イギリス人は今も体重をストーンで言う。
avoirdupois は古フランス語で「目方で売る品」を意味する。目方で売られる商品をこう呼び、別のトロイ式の勘定で扱われた貴金属や薬と区別した。トロイポンドは 12 オンス、5760 グレーンに分かれ、グレーンはどちらの体系でも同じなので、互いに簡単に換算できる。
ポンドは力ではなく質量の単位だが、日常では混同されやすい。ばね秤がポンドで示す重さは実は力であり、技術の分野では専用の記号 lbf、重量ポンドで書く。標準重力加速度のもとで 4.448 ニュートンに等しい。
よその国のポンドは何グラムか
等臂天秤の左の皿に選んだ時代のポンドをのせ、右の皿にはスライダーで設定したグラム数になるようにメートル法の分銅をのせる。竿はばねにのっているように本当に揺れて止まり、上の指針がどちらに傾いているかを示す。指針がゼロに止まるまで、ポンドと分銅は等しくない。
重いのはどちら:金一ポンドか羽毛一ポンドか
ひっかけのある古いなぞなぞ。羽毛一ポンドのほうが重い。羽毛は 453.6 グラムの常衡ポンドで、金は 373.2 グラムのトロイポンドではかるからだ。ところが金一オンスは羽毛一オンスより重く、31.1 グラム対 28.3 グラムになる。トロイポンドは 12 オンスにしか分けず、常衡ポンドは 16 オンスに分けるので、小さい全体の大きな取り分のほうが重くなる。
02 · 換算
単位 · 各国のポンド · トロイ式オンスとストーンからキログラムへ
任意の単位で質量を入力すると、このページはそれをキログラム、ポンド、オンス、ストーン、グレーンで示し、各国・各時代のポンドに換算し、常衡式とトロイ式を比べる。どのタブでも質量は同じで、変わるのは尺度だけだ。
覚えるきまり:1 キログラムは 2 ポンドと 1 割増し、1 ポンドは半キログラムより少し軽い。
各国のポンドはグラム単位に丸めてある。同じ町に薬種商用、香辛料用、家畜用と二つ三つのポンドが並んでいることも多く、原器も世紀ごとに変わった。トンもまちまちで、アメリカのショートトンは 2000 ポンド、イギリスのロングトンは 2240 ポンドだから、換算の前にどちらを指すのか確かめたい。
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04 · 測定器
竿秤 · 竿 · ばね · ライダー何ポンドかを知る四つの方法
一つのおもりですべての荷を
ローマの竿秤はおもり一つで足りる。荷は支点の近くにつるし、おもりを長い腕に沿って動かし、遠くへ行くほど多くの重さとつり合う。腕の目盛りは最初からポンドで刻まれているので、市場には分銅の箱ではなく一台の道具があればよく、これが竿秤をポンペイから十九世紀まで商人のお気に入りの秤にした。
測るのではなく比べる
等臂天秤はそれ自体では何も測らない。荷と分銅のどちらが重いかを答えるだけだが、赤道でも極でも同じ答えを出す。重力が両方の皿に等しくはたらくからだ。だからポンドの原器はまさにこの方法で比べられ、緯度によって伸び方の変わるばねには店先の秤しか任されなかった。
緯度で変わるポンド
ばねは質量ではなく力に応える。同じ一ポンドでも、極では赤道より約 0.5 パーセント長くばねを伸ばす。こうした秤の目盛りがポンドで刻まれているのは取り決めにすぎず、力を標準加速度で換算している。だから技術の分野では重量ポンドという独自の単位があり、商取引では設置場所で検定される。
小さな分銅なしでグレーンの端数を
精密な薬剤師の天秤では、いちばん小さな分銅のかわりにライダーを使う。目盛りのついた竿の上をピンセットで動かす、針金の小さなかぎだ。一目盛り動かすと十分の一グレーンとしてはたらくので、薬剤師は一グレーンより小さな分銅を一つも手にせず、6.5 ミリグラムをはかることができた。
05 · 表記の規則
記号 · 質量と力 · トロイ式5 lb であって 5 lbs ではない
ポンドの記号には複数形も点もつけない。質量と力は別の記号で書き、トロイ式の単位には文字 t をつけて、金を常衡オンスではからないようにする。
右の一行目と二行目は記号を語のように変化させ、点をつけている。三行目は 11 ストーン 4 ポンドを小数で書いているが、11.4 ストーンは 11 ストーン 5.6 ポンドだ。四行目は金を常衡オンスではかり、ほぼ一割を失う。五行目は力を質量と呼んで、エンジンを荷物のように見せ、六行目は正確な値を丸めて一割も間違えている。
06 · 隣り合う単位
ストーン · グレーン · 重量ポンドポンドの上には 14 ポンドのストーンとハンドレッドウェイトが、下にはオンスと、常衡式とトロイ式に共通のグレーンがある。そのわきに重量ポンドが立ち、psi で表す圧力とフィートポンドで表すトルクはこれにもとづいている。
イギリス人が今も体重を言うのに使う 14 ポンド。
常衡式、トロイ式、薬局式に共通の大麦一粒。
標準重力場でのポンドの力と、平方インチあたりの圧力。
07 · 歴史の部
資料 · リブラからプランク定数までポンドはどのようにまず多くなり、やがて一つになったか
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ローマのリブラからメートル法の Pfund まで
各柱の高さは一ポンドの質量をグラムで表したもので、0 から 500 まで。ローマのリブラ、タワーポンド、トロイポンド、常衡ポンド、ドイツ諸邦のメートル法ポンド。二千年でポンドは一・五倍重くなった。枠が柱を順にめぐる。
半キロのメートル法 Pfund は五つのうち唯一グラム数がきりのよいポンドで、だからこそ、商人がこの言葉を手放そうとしなかった市場でメートル法改革を生きのびた。
七で割り切れる数
1959 年にポンドをキログラムに結びつけたとき、イギリスとアメリカの原器の比の測定値はおよそ 0.453 592 4 で、どの桁で丸めてもよかった。選ばれたのは 0.453 592 37。八桁の有効数字で、最後の 7 は精度のためではなく算術のためにある。これがあってはじめて、この数は七で割り切れる。
そして一ポンドはちょうど七千グレーンだから、グレーンは正確な有限の数 64.798 91 ミリグラムになり、それとともにトロイオンス、薬局ドラム、スクループルも正確になった。八桁目のたった一つの数字が、古い単位の一族全体を、丸めながら換算するしかない終わりのない端数から救った。
1844 年の白金の円柱はその後、博物館の収蔵品になった。その質量はもう何も定義せず、数マイクログラム減ってもポンドは変わらない。ポンドは今やキログラムに、キログラムはプランク定数にもとづいているからだ。