熱素
ミュンヘン、1798 年。ランフォード伯は兵器工場で砲身がくり抜かれるのを見て、勘定の問いを立てる。熱が金属に染みこんだ物質なら、その蓄えは有限で、くり抜きはいつか熱を出さなくなるはずだ。彼はなまくらのドリルを取り、砲身を水槽に入れ、二時間半後には湯が沸く。水を替える——また沸く。
熱素は、ラヴォアジエが単体の表に載せた重さのない物質だった。熱いものから冷たいものへ流れ、その間に保存されると考えられた。その量はカロリーで量った:1 カロリーは水 1 グラムを 1 度温める。この理論は正しい熱容量の表を生み、カルノーの熱機関の理論さえ生んだ。しかしランフォードの実験は、仕事をし続ける限り熱は限りなく得られることを示した。
| 記号 | caloric · calorique · 尺度 cal |
| どう計算したか | 溶けた氷の質量と水の温まり方から · Q = c·m·ΔT |
| 何を前提としたか | 保存:一つの物体から出た分だけ、別の物体に入る |
| 導入と放棄 | calorique——ラヴォアジエ、1789 · ランフォードの実験——1798 · 熱の仕事当量——ジュール、1843—1850 |
| 今日の書き方 | 熱はエネルギーの一形態で、ジュールで表す · 1 cal = 4.184 J · ISO 80000-5 |
| 代表的な値 | 79.7 cal——氷 1 グラムを溶かす · 540 cal——水 1 グラムを蒸発させる · 2000 kcal——一日の食事 |
01 · 定義
熱の重さのない流体
18 世紀末の体系では、熱素は物体の中にあり、温かいものから冷たいものへ流れる。その粒子は互いに反発する——だから熱は広がり、物体は温まると膨らむ。物質によって熱素の入り方は違う:鉄が 1 度温まるのに要る量は水の十分の一だ。
ブラックの潜熱にも説明がついた:溶けている氷は熱素を受け取るのに温まらない、つまり熱素は結合した形で入る。体系の計算はすべて一つの前提の上に立っていた——熱素は保存される。まさにそれを捨てなければならなかった。熱容量の式はそのまま有効で、ただ熱は今ではエネルギーとして数えられる。
温度計なしで、熱を天秤に
中央には氷の部屋に入れた熱い試料があり、色は温度で変わる。青緑は氷と融解水で、水は下のカップに流れ落ちる——その質量から熱を求める。外側の囲いも氷でできていて、部屋の熱から実験を守る。琥珀色の点は、当時の想像どおりの熱素だ:試料が 0 度に冷えるまで、試料から氷へ移っていく。
熱素はすべてを説明した——くり抜きが始まるまでは
ここでは熱素を当時の想像どおりに描いた:重さのない流体の琥珀色の粒子 260 個。最初の三つの実験では数は変わらない。別の物体へ流れるか、物体を押し広げるか、溶ける氷の中に隠れるだけだ。中空の円は結合した熱素、青緑の層は氷。四つ目の実験ではドリルが無から新しい粒子を生む、白い粒子を——そして勘定が合わなくなる。スライダーで実験を進める。場面の下の数字は、当時と同じくカロリーで数えている。
冷めない砲身
中央は兵器工場のくり抜き機。馬が輪を描いて歩き、その巻き上げ機が大きな車輪と小歯車を通して青銅の砲身を回す。砲身は水槽に立ち、なまくらのドリルが砲腔に押し当てられる。藤色は機械的な仕事:伝動、軸、馬の動力。琥珀色は摩擦の点で生まれる熱:粒子がドリルから水の中を上っていく。青緑は水とその温度。右の画面は水の温まり方を記録し、その下に熱素の勘定がある。理論では、砲身の熱素の蓄えは有限だ。バーは、その蓄えがもうどれだけ尽きているはずかを示す。時間は 120 倍速:1 秒が 2 分。20 s 何も触らなければ、実験はひとりでに始まる。
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02 · 換算
| {n} | {v} | {note} |
カロリーはいくつもある。熱化学カロリーはちょうど 4.184 J、国際カロリーは 4.1868 J、15 度カロリーは 4.1855 J。差は 1 パーセントの十分の一ほど。厳密な仕事ではカロリーの種類を書く——あるいは、はじめからジュールで書くほうがよい。
氷と沸騰水のグラムが、その時代の尺度だった:熱はそうして目に見えた。氷 1 グラムを溶かすのに 79.7 cal、100 °C で水 1 グラムを蒸発させるのに約 540 cal。湯気が熱湯よりひどくやけどさせるのは、まさにこの 540 のせいだ。
03 · 桁の並び
04 · 測定器
05 · 表記の規則
06 · 隣り合う単位
熱素は去ったが、遺産を残した。カルノーは熱素を保存されるものとして熱機関の限界を導いた——その式は今も正しい。仕事と熱は一つの量だとわかり、熱と温度の比からエントロピーが生まれた。
07 · 歴史の部
熱素の理論は測定を一つも損なわなかった:熱量計が量っていたのは移った熱であって、物質ではない。だからラヴォアジエとラプラスの熱容量の表は理論より長く生きた。捨てられたのは保存の前提だけで、尺度——カロリー——は残った。
カロリーは水によって定義され、いくつもの版があった:15 °C のもの、0 から 100 °C の平均、国際カロリー。1948 年、国際度量衡総会は熱をジュールで表すよう勧告した。カロリーは食品の包装と古い便覧に残った。
酸を一滴たらすとジュースの色が変わり、塩は炎に色をつけ、水はひとたたきで凍る。その下に、Simetrium のすべてのページが分野別・五十音順に並ぶ。
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