グラム毎モル
水分子を 6.022·10²³ 個とるのに、化学者は数えたりしない。18.015 g を量りとるだけだ。この数がモル質量、つまり物質一モルが何グラムかを表す。食塩では 58.44 g/mol、砂糖では 342.3、ヘモグロビンでは約 64 500。
モル質量は、分子式に従って原子の質量を足し合わせて求める。原子の質量は質量分析計で測る。磁石がイオンを質量ごとに振り分け、重いイオンほどゆるやかな弧を描く。SI単位は kg/mol だが、実験室では g/mol と書く。こうすると、その数がダルトン単位で表した分子の質量と一致する。
| 記号 | g/mol · SIでは kg/mol |
| 定義 | M = m / n — 物質の質量をその物質量で割ったもの |
| 参考値 | M(¹²C) = 12.000 000 012 6 g/mol · M_u = 1.000 000 001 05 g/mol |
| 導入 | グラム原子量 — 十九世紀から · kg/mol — モルがSIに加わった 1971 年から |
| 規格 | ISO 80000-9 · IUPAC Green Book · CIAAW 2021 |
| 代表的な値 | 18.015 g/mol — 水 · 180.16 — ブドウ糖 · 64 500 — ヘモグロビン |
01 · 定義
一モルの質量
物質をとり、その質量をモル単位の物質量で割る。するとモル質量 M が得られる。純物質ではこの値は一定だ。水 9 g は 0.5 mol、36 g は 2 mol で、比はいつも 18.015 g/mol。
モル質量は分子式から計算する。各元素の原子量を IUPAC の表からとり、原子の数を掛けて足し合わせる。原子量は天然の同位体混合物の平均値だ。だから塩素は整数ではなく 35.45 になる。
分子を組み立てて一モルを量る
球は分子をつくる原子で、原子の質量が大きいほど大きい。その下の帯は同じ質量を分けて示したもの:モル質量のうち各元素がどれだけを占めるか。黒は炭素、青は水素、緑は窒素、紅色は酸素、灰色は塩素。
分析計に飛び込むもの
各セルには、実験で使う物質の骨格構造式が入っている。角と線の端は炭素原子で、それに付く水素は描かない。二重線は二重結合。窒素は緑、酸素は紅色で示す。式の下の緑の数字は g/mol 単位のモル質量。中央はカフェインで、青い火花がその環を走る。
磁石がイオンを質量で振り分ける
中央は質量分析計の断面。物質の蒸気がイオン源に入り、熱いフィラメントが分子から電子をたたき出し、電圧 U がイオンを加速する。磁場 B の中でイオンは半径 r = √(2mU/e) / B の弧を描いて飛ぶ。重いほど弧はゆるやかになる。青い破線は質量の違うイオンのビームで、その明るさは自然界でのその分子の割合を表す。図ではビームの広がりを 8 倍に拡大している。そうしないと隣り合う質量が一本の弧に重なってしまう。コレクターのスリットに入るのは、半径がちょうど 200 mm のビームだけで、そのときコレクターが紅色に光る。磁場はゆっくり変わり、右の画面には紅色の線でスペクトルが記録される。青い線はいまスリットにある質量だ。画面の下には天秤があり、物質がちょうど一モル載せられる。左のコンソールはモル質量と装置のモードを表示する。分析計をクリックすると磁場が最大ピークに合わせられ、天秤をクリックすると一モルが載る。20 s 何も触らなければ、実験はひとりでに進む。
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02 · 換算
| {n} | {v} | {note} |
ダルトンと g/mol は同じ数を与えるが、別の量だ。ダルトンは分子一個の質量、g/mol は一モルの質量である。2019 年以降、二つの数は厳密には一致しない。CODATA 2022 によれば差は 1.05·10⁻⁹ で、どんな天秤でも到底検出できない。
工学の表には kg/kmol や lb/lb-mol も出てくる。数値は g/mol と同じだ。キロモルはモルの千倍で、キログラムもグラムの千倍だからだ。ポンドモルは 453.59 mol。
03 · 桁の並び
04 · 測定器
05 · 表記の規則
06 · 隣り合う単位
07 · 歴史の部
元素の原子量は、試料をどこでとったかによって変わる。海水の水素と天然ガスの水素では、重水素の割合が違う。そのため CIAAW は水素に 1.007 84–1.008 11 という区間を与え、計算では慣用値 1.008 を使う。このため水のモル質量は五桁目までしか正確でない。
目盛りそのものは炭素 12 を基準にしている。2019 年までは、定義により M(¹²C) はちょうど 12 g/mol だった。モルがアボガドロ数で定義されてからは、これは測定値になった。CODATA 2022 によれば 12.000 000 012 6 g/mol、不確かさは 3.7·10⁻⁹ g/mol。化学者がこの差に気づくことはない。
酸を一滴たらすとジュースの色が変わり、塩は炎に色をつけ、水はひとたたきで凍る。その下に、Simetrium のすべてのページが分野別・五十音順に並ぶ。
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