単位の中の炭素は、グラム数のあとに大文字の C をつけて書く:g C/m²。これは炭素のグラム数であって、糖や乾燥重量のグラム数ではない。一年あたりのフラックスは g C/(m²·a) と書き、a は年を表す。割合は NPP に対する百分率で書く。NPP とは、植物自身の呼吸を差し引いたあとの一次生産のことである。
NPP に対する割合と、光合成全体 GPP に対する割合は区別する。後者は前者の半分になる。炭素のグラム数と CO₂ のグラム数も区別する。炭素一グラムは CO₂ 3.67 グラムにあたる。そして、年あたりのフラックスとストックも区別する。菌糸体の質量は、一シーズンのあいだにそこを通り抜けた炭素よりも軽いことがある。
太陽がトウヒの上で脈打つ。琥珀色の糖のしずくが、幹と根を伝って文字 C へ降りていく。この文字は根の先をおおう菌鞘である。しずくは、その開いた側から菌糸を伝って土の中へ進む。同じ菌糸を通って、緑の窒素の粒が木のほうへ上がってくる。右の目盛りでは印が 16.7 % まで上がって光る。録画の表示が点滅する。
単位シート
菌類学 改訂 2026-10菌根 %, g C/(m²·a)
SI 組立単位 · 量:植物から菌への単位面積あたりの炭素フラックスと、その生産に占める割合
トウヒは糖で菌に払う
2001 年、スウェーデンの林業研究者がマツの幹から細い環状に樹皮をはいだ。木はすぐには枯れなかった。水はそれまでどおり針葉まで上がった。だが針葉の糖は根に届かなくなった。二か月後、そのマツの下の土が出す二酸化炭素は、隣の木の下に比べてほぼ半分になっていた。
その気体の半分は、根と根についた菌が吐き出したものだった。トウヒやマツの根の先は菌鞘でおおわれている。そこから菌糸が土の中へ伸びる。菌は木から糖をもらい、そのかわりに、はるかに大きな体積の土から集めた窒素、リン、水を運んでくる。この共生を菌根という。
この共生の代価は二つの数で測る。一つ目は割合で、木の純生産のうち何パーセントが菌にわたるか。二つ目はフラックスで、森の一平方メートルから一年に菌が何グラムの炭素を受け取るか。トウヒ林では生産の六分の一ほど、一平方メートルあたり年に約 90 g C である。
01 · 定義
光合成 · 呼吸 · 菌の割合森は一年のあいだに、空気から多くの炭素を取り込む。この総光合成を GPP という。木はそのおよそ半分を、すぐに自分の呼吸で使う。残り、つまり純一次生産 NPP は、木材の成長、針葉、根、そして菌への支払いに回る。
菌根の割合とは、菌へ流れる炭素のフラックスを NPP で割ったもので、百分率で表す。フラックスそのものは、一平方メートル一年あたりの炭素のグラム数で表す。炭素をほかの原子と分けて数えるのは、糖も木材も吐いた気体も、同じ単位で足し合わせられるようにするためである。
割合は一定ではない。土の中に使える窒素が多ければ、木は自分で窒素を取り、菌に払う分は減る。窒素が少なければ割合は増える。だから肥料や窒素沈着は菌根を減らし、やせた北の土では菌根がいちばん気前がよい。
木は菌にどれだけ払うか
上は植物と土の断面。琥珀色のしずくは糖で、葉から根へ、さらに菌へ流れる。緑の粒は窒素で、菌が植物にわたす。紫は菌で、根の先の菌鞘と土の中の菌糸を表す。スライダーで光、土の窒素、水分を決める。「環状剥皮」は樹皮を輪の形にはぐ。糖は切れ目で止まる。「¹³C 標識」は標識した炭素をひとかたまり流し、それが菌に届くまでの速さが見える。下には三つの表示がある。「フラックス」は炭素がどこへ分かれるか。「¹³C 標識」は標識が日ごとにどこにあるか。「窒素」は土の窒素が増えると菌の割合がどう下がるか。
菌糸は根より百倍細い
トウヒの細根は半ミリほど。菌糸は三マイクロメートルほどである。同じ量の炭素から、菌ははるかに長い糸を育て、はるかに大きな体積の土を回れる。だから窒素が少ないうちは、木が自分で根をつくるより菌に払うほうが得になる。ボタン「×2 窒素」で窒素を加えてみよう。木が窒素を直接取りはじめるので、菌の割合は下がる。
02 · 換算
炭素 · CO₂ · 糖 · 地球規模炭素のグラムから CO₂ のトンへ
菌へのフラックスを好きな単位で入力する。最初のタブは、それを炭素、CO₂、グルコース、トウヒ林の生産に対する割合に換える。二つ目は、本ページのモデルによるいろいろな森の割合とフラックスを示す。三つ目は、一平方メートルのフラックスをヘクタール、国、地球の規模に換える。
菌を通る炭素は多いが、とどまるのは少ない。菌はその大部分を数日から数週間で呼吸として返し、一部は土壌有機物になる。だから年に 90 g C というのは、土に毎年 90 g C が増えるという意味ではない。
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04 · 測定器
¹³C チャンバー · 質量分析計 · 環状剥皮 · ミニライゾトロン炭素に印をつけ、それを探す
¹³C 標識チャンバー
若い木を透明なチャンバーでおおい、重い同位体 ¹³C をもつ二酸化炭素を含む空気を数時間送る。木はそれを普通の炭素と同じように取り込む。そのあと、等しい間隔で針葉、根、菌糸、土が出す気体のサンプルをとる。標識がどこにいつ現れたかで、炭素の何割が、何日かけて菌へ行ったかがわかる。
同位体比質量分析計
サンプルを燃やすと、その炭素はすべて CO₂ になる。分子を加速して磁石の中を通す。¹³C をもつ重い分子はわずかに曲がり方が小さく、隣の検出器に入る。検出器の電流の比から、基準にくらべて重い炭素が何倍あるかを装置が計算する。この数をパーミルで δ¹³C と書く。
環状剥皮
糖は樹皮の下の薄い層を下り、水は木部を上る。幹から樹皮を輪の形にはぐと、糖は切れ目で止まり、水は流れつづける。木はまだ生きているが、根と菌は炭素を受け取れなくなる。土壌呼吸がどれだけ落ちたかを見れば、そのうちどれだけを根と菌がまかなっていたかがわかる。
ミニライゾトロン
透明な管を土に斜めに埋める。管の中を小さなカメラが動き、週に一回、同じ深さで管の壁を撮影する。写真から、根が育ち枯れるようす、菌糸が伸びだすようすがわかる。写真に写る菌糸の数と長さから、菌が成長にどれだけの炭素を使い、どれだけの速さで失うかを見積もる。
05 · 表記の規則
炭素 · 期間 · 割合の基準炭素であること、期間、何に対する割合かを書く
フラックスは炭素のグラム数で、グラムのあとに C をつけ、期間を添えて書く。割合は、何に対するものかを一緒に書く。NPP か、GPP か、標識をした日の光合成かである。
C がなく期間もなければ、何のグラムで、どれだけの時間なのかわからない。「炭素のパーセント」では、何に対する割合かわからない。炭素 91 g は CO₂ 334 g にあたり、91 g ではない。同位体組成のずれはパーセントでなくパーミルで書き、基準を示す。そして GPP に対する割合は、同じものの NPP に対する割合のおよそ半分になる。
06 · 隣り合う単位
菌類学木が菌にわたす炭素は菌糸体になる。その一ヘクタールあたりの質量は、隣のページが計算する。菌糸がどれだけ速く伸びるかは、菌糸体の成長のページが示す。物質量としての炭素、つまりモルについては、SI 基本単位のページが語る。
07 · 歴史の部
アーカイブ · 「菌根」から 13 ギガトンへ共生の代価はどう見積もられたか
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炭素一グラムは糖一グラムではない
糖のグルコースは、炭素、水素、酸素からできている。そのうち炭素は 180 のうちの 72 である。だから炭素一グラムは、グルコース二グラム半にあたる。同じ炭素を菌が吐き出せば、CO₂ は 3.67 グラムになる。
混乱を避けるため、生態学ではすべての炭素を一つの尺度、つまり炭素そのもののグラム数にそろえる。針葉、根、土のサンプルをスズカプセルに包み、千度で燃やす。炭素はすべて CO₂ になり、装置がその量を数える。土の炭素を ISO 10694 が定めるのも、この方法である。
右は同じことを天秤で表したものだ。左の皿には糖 2.5 グラム、右の皿にはそこに含まれる炭素 1 グラムがある。天秤はつりあわないが、炭素のグラム数で数えれば勘定は合う。

酸を一滴たらすとジュースの色が変わり、塩は炎に色をつけ、水はひとたたきで凍る。その下に、Simetrium のすべてのページが分野別・五十音順に並ぶ。
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