レントゲン
SI 以外の単位 · 量: X 線およびガンマ線の照射線量
01・定義
レントゲンとは、乾燥空気 1 キログラム中に各符号 2.58·10⁻⁴ クーロンの電荷を生じさせる X 線またはガンマ線の量である。この単位が表すのは物体でも物質でもなく、放射線が空気を電離させる能力そのものである。
空気が選ばれたのは偶然ではない。1928 年には気体の電離は測れたが、組織に与えられたエネルギーはまったく測れなかった。電荷は電極に集められ、正確に数えられる。だからこの量は最初から再現可能だった。その代償が適用範囲の狭さである。レントゲンが定義されているのは X 線とガンマ線だけ、空気中だけ、しかもおよそ 3 メガ電子ボルトまでに限られる。アルファ粒子やベータ粒子にはまったく意味をなさず、人体の線量を知るには読み値に換算係数を掛けなければならない。1 レントゲンは空気中で 8.76 ミリグレイ、軟部組織ではおよそ 9.6 を与える。
軟部組織は空気よりわずかに X 線を吸収しやすく、同じ照射線量でもおよそ 1 割多くエネルギーを受ける。骨では低エネルギー領域で差が4 倍にまで開く。原子番号の大きいカルシウムが効いているからである。ここから線量測定の原則が生まれる。空気中で測った照射線量が臓器線量になるのは、物質・放射線のスペクトル・照射の幾何を織り込んだ計算を経てからだけである。この余分な一段こそが、最終的にレントゲンからグレイへの移行を促した。グレイは、問題になっているその物質の中で与えられたエネルギーを直接測る。
02・換算
線量を入力すると、このシートが空気と組織それぞれに換算します
クーロン毎キログラムとの関係は定義上そのまま正確である。それ以外はすべて空気から物質への移り変わりであり、どの物質を指すかによって変わる。
レントゲンは正式には廃止されている。ロシアでは移行期間を設けたうえで、八十年代のうちに使用可能な単位から外された。国際単位系はこれをクーロン毎キログラムに置き換えたが、そちらは結局根づかず、誰も使っていない。それでもマイクロレントゲン毎時は二度の改革を生き延び、市販の線量計のほとんどすべての目盛に載っている。ソ連時代の基準も見慣れた目安も、すべてこの単位で書かれているからである。この種の機器を読むときに覚えておくことは一つだけ。100 マイクロレントゲン毎時はおよそ 1 マイクロシーベルト毎時である。
| 単位 | 名称 | 値 | どこで使われるか |
|---|---|---|---|
| R | レントゲン、照射線量 | 1 | 機器と古い基準 |
| C/kg | クーロン毎キログラム、SI 単位 | 0 | 定義ではあるが実務ではない |
| µC/kg | マイクロクーロン毎キログラム | 258 | 書きやすい形 |
| 空気中の Gy | 空気中の吸収線量 | 0.009 | 機器の校正 |
| 組織中の mGy | 軟部組織中の吸収線量 | 9.6 | 医療と放射線防護 |
| mSv | ガンマ線に対する等価線量 | 9.6 | 現在の規制 |
組織線量は、軟部組織と X 線管のエネルギーに当てはまる換算係数0.0096 グレイ毎レントゲンで計算している。X 線とガンマ線では放射線加重係数が 1 であるため、等価線量は吸収線量と一致する
03・桁の眺め
線量率: 自然放射線から炉の残骸まで10 マイクロレントゲン毎時: 自然放射線
04・測定器
レントゲンを測る道具
一次標準器。線束は極板の間を通り、収集電極が図面からマイクロメートル単位でわかる空気の体積を区切る。この装置は他の機器と照合して校正する必要がない。単位の定義をそのまま文字どおりに実現しているからであり、それゆえ各国の計量標準機関に置かれている。
放射線治療の実務用機器。空気等価物質の壁の中に設けた、エンドウ豆ほどの空洞である。標準電離箱で校正したうえでファントムに直接差し込み、腫瘍ができる位置での線量を測る。
民間防衛の携帯型機器で、目盛は毎時 200 レントゲンまで、検出部は別置き。事故直後のチェルノブイリ発電所にあったのは、まさにこの種の機器だった。毎時 3.6 レントゲンという上限は安全を意味していたのではなく、針が目盛の端に振り切れたことを示していたにすぎない。
ガイガー計数管が数えているのはパルスだが、表示はマイクロレントゲン毎時である。買い手にとってそのほうが馴染みがあるからだ。機器はセシウム 137 で校正されており、エネルギーの異なる光子では読み値が数倍ずれる。ラドンのたまった地下室では低く出て、X 線装置のそばでは高く出る。
05・表記の規則
記号は大文字、名称は小文字
記号は点を打たない大文字の R。この単位は人名に由来するため、文中では名称を小文字で書き、数のあとでも形は変わらない — 百レントゲン。記号のほうは常に大文字のまま変わらない。
真ん中の書き方は線量とその率を取り違えている。マイクロレントゲンは積算した照射線量であり、機器が示すのはマイクロレントゲン毎時、すなわち積み上がる速さである。下の等号が成り立つのは近似的にだけ、しかも軟部組織とガンマ線に限られる。そこでは 1 レントゲンがおよそ 0.96 ラド、つまりおよそ 1 レムではあるが、ちょうど 1 レムではない。ここからこの単位の最大の限界も出てくる。古い文書を読むときに覚えておきたい点である。照射線量が表すのはある一点の放射線場であって、そこにいた人が受けた量ではない。その人の位置、遮へい、滞在時間がわからなければ、一方を他方に換算することはできない。
07・歴史の章
線量は火傷と錠剤の色で測られていた
最初の線量計は、緑から橙へ色を変える白金シアン化バリウムの錠剤だった。医師はそれを患者のそばに置き、色合いがカードの見本に達したところで照射を止めた。精度は診察室の照明と医師の目に左右された。
もう一つの尺度が紅斑線量、すなわち皮膚に消えない発赤を生じさせる線量だった。値は人によって、体の部位によって、照射時間によって変わり、患者どうしで 2 倍、施設どうしで 5 倍もの開きがあった。
第 2 回国際放射線医学会議がレントゲンを採択した。標準状態の乾燥空気1 立方センチメートル中に生じる電荷である。この量はこれ以降、機器で測ることができ、世界のどの実験室でも再現できるものになった。
定義はクーロンとキログラムに書き換えられ、次いで単位系は、物質中のエネルギーを直接測るグレイへ移った。レントゲンは使われなくなり、機器の目盛と、数字がすべてこの単位で書かれている古い事故の記録のなかにだけ残っている。
無関係な物質を通じて定義された唯一の量
計量の専門家から見ると、レントゲンは奇妙な組み立てをしている。放射線を、当の問題とは無関係な空気の反応を通じて記述しているからだ。理由は歴史的なものである。1928 年には気体の電離を 1 パーセントの何分の一という誤差で測れたのに対し、組織に与えられたエネルギーはまったく測れなかった。この精度の代価は二重だった。第一に、この単位が使えるのは X 線とガンマ線だけ、しかもおよそ 3 メガ電子ボルトまでである。それを超えると二次電子が測定体積の外へ飛び出し、定義を支えている平衡が崩れる。第二に、照射線量と人体の線量との間には計算が挟まり、その計算は放射線のスペクトルと、どの臓器を対象にするかに依存する。軟部組織ではおよそ 1.1 倍、骨では低エネルギーで 4 倍にもなる。この余分な一段こそが単位の運命を決めた。グレイとシーベルトは、医師が知りたいものを直接測る。それでもレントゲンには、後継の単位にない利点が残っている。自由空気電離箱は、幾何と電荷からその定義を文字どおりに実現する。だからこそ各国の線量測定標準は今日もこの構造のまわりに築かれ、そこから初めてグレイへ換算されるのである。
カタログ・測定単位
量ごとに一枚のシート
SI の基本単位七つ、固有の名を持つ組立単位二十二、そして技術にも暮らしにも欠かせない SI 以外の単位。どれにも一枚のシートがある——定義、換算、測定器、表記の規則。36 言語で。
SI 以外の単位
レントゲンのシートを開いているSI 基本単位
黄土色はクーロン毎キログラムを組み立てている単位放射線量の四つの段
線源 · 空気 · 物質 · 生体シートの言語
36 言語。記号 R はどこでも通じる。訳されるのは機器や量の名称と、目盛の説明である。